2014年08月01日

出れんの!?サマソニ!? 2014 演奏部門 最終ライブ審査1日目レポート

7月も後半に突入し、既に茹だるような真夏の暑さと湿気に包まれた某日、都内のライブハウスにて「出れんの!?サマソニ!?」の最終ライブ審査が行われました。いつもこんな朝早くから訪れることはまずない場所ですが、リハーサルの楽器の音がフロアを埋め尽くすほどの勢いで鳴り響くと、ライブの開演前のあの時間にいつも感じる高揚感がじわりと湧き上がってくるのを感じます。



そんな独特の会場の緊張感に戸惑うどころか、むしろ味方につけるようなヒリヒリとした演奏で魅せてくれたのは、この日最初のアクトとなったATLANTIS AIRPORT。4拍子から3拍子、6/8拍子とめまぐるしく変わっていく楽曲を、暴れ馬を乗りこなすように、絶妙な息遣いと掛け声で駆け抜けていくバンドのアンサンブル。そして真っ赤なワンピースに身を包んだボーカルのsoneは、その凛とした歌声でシリアスな曲世界に彩りを添えながら、コンダクターのように手を動かして自らもリズムの一部となって音を楽しんでいるようでした。


そんな緊張感溢れるスタートとは対照的だった、THE こっけんろーるBAND。本番前の音出しを終えた直後に「1弦切れちった!」と嬉しそうに叫ぶギターボーカルの姿にはふてぶてしさを通り越して大物の風格すら感じます。そんな飄々とした佇まいは、演奏が始まっても顕在。奔放に、音で遊んでいるかのように実に楽しそうなボーカル、屋台骨となり支え上げるベース&ドラム、そしてフレーズごとに新鮮なニュアンスを生み出していくギターと、絶妙なバランスで転がっていくエイトビートにはドキドキせずにはいられないし、表情を崩しながら力強く歌い上げるその姿には心臓を鷲掴みにされたような感覚を味わいました。


続いてステージに登場したのは、或るミイ。楽器のプレイもリズムの取り方も四者四様のそれぞれのスタイルを持ちながら、サビのメロディに向かってガっと一気に集束していく演奏は、どこを見ていいのか迷ってしまう程で、思わず嬉しい悲鳴を上げたくなってしまうし、目にも耳にも刺激的な時間を提供してくれます。ピアニカやマラカスといった楽器も登場し、楽曲の世界観を引き出すためにならどんな音でも生み出して活用してみせるといった自信と覚悟がビシビシ伝わってきました。


そして会場を一気にムーディーな空気に演出してくれたのは、kukatachi。R&Bを基調としたブラック感溢れるサウンドには、裏のビートを感じながら体を揺らしてリズムを取りたくなってくるし、歪んだ力強いギターサウンドにはハードロックからの影響も感じられます。音出しのときにステージスタッフにことわってギターアンプの上に置かれた地球儀の形をした照明も、バンドの世界観を演出するのに一役買っていました。その中でも、スキャットを交えつつ高音から低音まで見事に歌い上げる男性ボーカルの歌唱力には圧倒されずにはいられませんでした。


様々なところでその名前を目にしておきながら、やっとこの日そのライブを見ることができたグッバイフジヤマ。それだけ既に数多くの場数を踏んでいるとあって、審査されているということを全く意に介さないようなエネルギッシュなパフォーマンスをしてくれました。コシのあるうねりを作り出すベースと、アグレッシヴな動きを見せるキーボード、そしてギターは背面弾きまで披露するという大胆さ。「つかまえて、抱きしめて」と歌うところで自分の体をぎゅっと抱きしめるボーカルの姿からも、バンドという形式で表現することの必然性を感じるステージでした。


スタイリッシュな長身男性がフロントに並ぶ様といい、洋楽的な匂いと色気を感じずにはいられないサウンドといい、去年この審査を勝ち抜いたHAPPYの姿を思い出させてくれた、DATS。しかしながらその音楽の嗜好性は同じ洋楽でもよりソリッドな方向を向いていて、英語詞ながら日本人独特の憂いもたっぷりと含んだメロディと共に、また新しいハイブリッドな音世界の扉を開けてくれました。そういった意味でも、サマーソニックというあの舞台で演奏する姿が真っ先に浮かんでくるアクトだったように思います。


思い切りのいい力強いドラムの音をめいいっぱい響かせていたのは、REVSONICS。こちらは先ほどとは対照的に、ASIAN KUNG-FU GENERATIONといったバンドを連想させる、独特な言葉の使い方・区切り方となめらかで耳障りのいいメロディを軸にした楽曲が印象的で、尚且つ、歪んだベースの音とギターのフレーズには洋楽っぽさも感じられ、アジカンが毎年洋楽アーティストを招聘して開催しているNANO-MUGEN FESに代表されるような、先人たちが必死に撒いてきた音楽の種が、いよいよ本格的に芽吹いてきたのではないかという期待を感じるバンドでした。


全員が白シャツにサスペンダーとこれまたインパクトのある衣装で登場した、空中カメラ。マンドリン等のアコースティックなサウンドを軸にした、どこか牧歌的な浮遊感のある楽曲がこの日の出演者の中でもひときわ耳を惹くものでした。特に、ギターとキーボードの立ち位置に置かれた机には様々な楽器がずらっと並べられ、カズー・カウベル・ピアニカといった個性的な楽器たちが時には効果音のように楽曲に花を添えており、ライブ審査でありながらその音を思わず楽しんでしまう時間をくれました。


メンバーが登場する前から会場がざわつき始めたのは、えろ漫画家ピクピクン☆。その名前からしてどんなバンドなのだろうという期待と不安が織り交ざった空気の中、「よろしくお願いしまーす!」という元気な声で登場したボーカルに審査員・スタッフ一同意表を突かれる形となりました(笑)それがまたライブとなると、ハードロック・メタルを基調とした重厚な演奏力でこちらもフロアを圧倒!特にボーカルの、デスヴォイスも巧みに操る歌唱と、少し自虐的なユーモアも交えたMC、振り付けも入りながらのパフォーマンスと、徹底したライブ感・サービス精神にすっかり虜に。演奏が終わってからも「ありがとうございましたー!」という声が大きく響き渡りました。


この日最後のパフォーマンスは、福岡発ロックアイドルユニットの青SHUN学園。バンド部門でありながら、ステージに登場したのはボーカルの男性と、チェック柄の制服を纏った7人のパフォーマー。曲が始まるとパフォーマーたちが会場を所狭しと駆け回り、パワフルなダンスを披露します。フロアのパフォーマンスエリアもフルに使って縦横無尽に動いて、お客さんに合いの手を入れてもらうための誘導もマイクを使ってしっかりと。普段の活動からすると色々な制約があった審査本番だったと思いますが、ありったけの元気を貰ったエネルギッシュなアクトになりました。



さてさて、長丁場となったバンド審査の1日目もここで終了。

2日目のレポートへと続きます!


佐藤直也

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出れんの!?サマソニ!? 2014 演奏部門 最終ライブ審査2日目レポート

バンド審査も2日目に突入し、一発目から目が覚めるようなステージを披露してくれたのはChristoper Allan Diadora。北米でバンドを組んでいたメンバーがいるように、とても日本のバンドらしからぬ、重厚なサウンドを次々と繰り出してくれます。ひとつひとつの音がボディーブローのように体にずしんと響いてくるドラムと、二本のギターが絡み合いリフレインしていくリフ。そんなバンドの音を信頼しきっているのか、フロアを見据えたまま微動だにしない堂々としたボーカルの佇まいからは溢れんばかりの色気が漂っています。息もつかせぬまま間髪入れずに4曲を演奏すると、フロアからは感嘆のため息が漏れていました。



続いて登場したPANは、結成19年を迎える関西のバンド。Hi-STANDARDに代表されるようなあの頃の音楽を体験した人にとっても、「これ、これ!待ってました!」と心を震わさずにはいられないビートと、胸に刺さるメロディを持つ楽曲は、この日初めて聴くものなのに絶対的なアンセム感を纏うものばかり。そんな楽曲を自らが一番楽しんでいるかのように踊りながら熱唱する、ボーカルのエネルギッシュな動きにも目を惹かれます。この金色に輝いて聴こえた音楽、老若男女問わずたくさんの人の心を掴むはずです。


リーマンマイクの音出しでは、スーツにサングラスの男たちがマイクチェック。その名の通り、全員が本職はサラリーマンという異色のラップ集団なのですが、どうやらCDJを使った音チェックに手間取っているよう。すると「すいません、音担当が急に出張になってしまって…」と、まさにサラリーマンらしいトラブル。パフォーマンスでは、そんな社会人の悲喜交々を載せたライムと、取引先とのやり取りをパロディにしたミニコントも。最期に披露したお祭りソングの曲間では、なんとふんどし&水着になって再登場といぅ徹底ぶり。その後に紙ふぶきをせっせと片付ける姿にもサラリーマンの哀愁を感じずにはいられませんでした。


そんな飲み会の二次会的な空気を、ガラッと土臭いブルースロックの世界に塗り替えたのは、MONSTER大陸。程よく歪んだザクザクとしたギターと抜けのいいブルースハープの音色が耳にも心地よく、自由なグルーヴを生み出して行きます。ブルースの表現として前述の「土臭い」という表現をよく目にしますが、このバンドは土の匂いが漂うどころか泥の中で転げまわっているような印象を覚えました。特に3曲目の繊細なニュアンスを巧みに表現するハープとサイケデリックなサウンドは、ブルースの価値観を覆されるような鮮烈な体験となりました。この感覚、ブルースを全く知らない人にも絶対に届くはずです。


続いてのパーフォーマンスをしてくれたすらぷるためは、自分の口を使って様々なリズム・音を生み出すヒューマンビートボックス奏者。「マイクのテスト中」という、よくライブの転換などでスタッフさんが行うあの言葉を素材に、ドラムのシンバルやバスドラ、ベース音も生み出してビートに変えて行きます。何が起こっているのか分からず呆気に取られている人のためにも「口だけじゃなくて喉や舌も使って色んな音を鳴らせるんです」と解説も交えながら、エイトビートやドラムンベースなど、更に多様なリズム・ジャンルを超えた音を生み出して行きます。何もないところから音が生まれていく不思議、出れサマのステージでこそ映えるのではないでしょうか。


ライブ審査もいよいよ終盤、続いては5人組のダンスボーカルグループ・WEBER。キレのあるスピーディーなダンスは、個々でのパフォーマンスはもちろん、立体的に交差するフォーメーション的な動きでもそのまま。情感たっぷりに歌い上げるボーカルも華があります。Webから広がるグループということで、パフォーマンスだけでない精力的な活動を行っているWEBER。いつもと違うライブハウスという場所で、普段とのステージの狭さに戸惑う部分もあったように思いますが、果たして…?


大量の機材を持ちこんでの音出しとなったのは、SETUNA CREWSのステージ。本格的なへヴィサウンドと、時に力強く、時に繊細なメロディを紡いでいく歌声が印象的です。ベースとギターが楽器を高く掲げるパフォーマンスといい、低めにセッティングされたマイクで歌い上げるボーカルの姿といい、見るからにステージ慣れしているバンドですが、楽曲の展開ごとに全く違った表情を見せる練られたアレンジの楽曲には舌を巻くものがありました。演奏力はもちろん、客観的に自分たちの音を演出できるその構成力こそに、このバンドの本質があるのではと感じました。


そしてバンド審査の最期にパフォーマンスをしてくれたのは、DENSHI JISION。茨城県つくば市を中心に活動しているとあって、理系のオーラ漂う白衣姿で演奏する3人組。登場SEにバンド&メンバー紹介のナレーションを盛り込むところもさすがです。そのサウンドはエレクトロをフィーチャーし、オートチューンを使用した歌声をフル活用したグッドメロディが特徴的でしたが、サカナクションやthe telephonesといった先人たちが群雄割拠する戦国時代のようなこのジャンル、それらを超えるインパクトを審査員のみなさんに残せたのでしょうか…?



ということで、以上で出れんの!?サマソニ!?2014のライブ審査のパーフォーマンスが終了しました。今年は、バンドでいうと洋楽や邦楽といった括りを超えたハイブリッドなサウンドのバンドが一気に増えてきた印象を受けました。既存のものに捉われず、自由に新しいドアを次々に蹴破っていくような頼もしい存在がたくさんいたように思います。それに、バンドという形式に捉われないパフォーマンスでも、その長所を活かした多種多様な出演者が揃ったと思います。果たしてこの中から幕張への切符を手にするのはどの出演者なのか…?結果発表は間もなくです!


佐藤直也


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